仏事のはてな?これってなんだろう?


 ご本尊について

 
  前回の更新からおよそ2年・・・、いつの間にか年号もかわってしまいました。

  少ない更新頻度を反省しつつ本題に入ります。前回のテーマは仏様の手の形、『印相』でした。今回のテーマ【ご本尊】について書いてまいります。内容は前提として、お仏壇等におけるお荘厳(お飾り)についてです。

  浄土真宗のご本尊は『阿弥陀如来』という仏さまです。浄土真宗のお寺やお仏壇における木像ないしは絵像の阿弥陀如来さまは、立ったお姿をされています。

  一般的に有名な鎌倉の大仏のように、座ったお姿の阿弥陀如来さまをイメージされる方も多いと思います。しかしながら浄土真宗の阿弥陀如来さまは、とても大切な願いがその立ったお姿にあらわれておられます。

 

  浄土真宗の根本聖典である浄土三部経の一巻、「観無量寿経」には王舎城というお城の王族に起こった事件《王舎城の悲劇》をきっかけに、阿弥陀様が立ったお姿をしておられる根拠が説かれています。

  韋提希(イダイケ)夫人は、自身の息子の阿闍世(アジャセ)王子が父である頻婆沙羅(ビンバサラ)王を殺害したことで牢獄に幽閉されていました。苦境にあった韋提希夫人の要請に、お釈迦様は浄土往生のための16の行法を説かれます。その7番目において韋提希夫人に『苦悩を除く法を説き示そう』とお釈迦様がおっしゃられると、それに呼応するかのように空中に阿弥陀様とその両脇に観音・勢至菩薩が現れます。この阿弥陀様の立ったお姿を【住立空中尊】といい、浄土真宗のご本尊はこのお姿の阿弥陀様です。

 

  この【住立空中尊】について中国の善導大師は、悩み苦しむ衆生をただちに立ち上がって救いとっていかれる阿弥陀様のおこころを、『立ちながら撮りてすなはち行く』とおっしゃられています。

 

  また親鸞聖人は御和讃で「観無量寿経」で説かれた【住立空中尊】のお姿は、苦悩の衆生をいつでもただちに救おうと立ち上がってくださった大慈大悲の阿弥陀様であることを、以下のようにお示しです。

 

『久遠実成阿弥陀仏 五濁の衆生をあわれみて 

釈迦牟尼仏としめしてぞ 迦耶城には応現す』

 

  いかがでしょうか。お仏壇の阿弥陀様は私たちの生活の中にいつもご一緒です。さらに、いついかなるときも『ただちに救う』と、そのお姿で私たちによりそってくださいます。阿弥陀様の尊いおこころを感じさせていただく空間として、お仏壇、ご本尊と向き合いたいと私もこの度あじわわせていただきました。

 2021年2月6日